はじめに―「絶望」の蔓延 本記事は、グスタフ・ルネ・ホッケ(種村季弘訳)『絶望と確信―20世紀末の芸術と文学のために―』について紹介する。 今日のコロナ禍や格差社会などで「絶望」ほど日常に染み付いた言葉はないだろう。まるで希望を語ることが虚しくなるくらい、成長経済を背景とした業績重視型社会は、1人の人間を、否応なく「数値化・学歴(ないしは経歴や国籍や性別や肌の色)」によりイメージ化・レッテル化しようとする。 一人の人間は、この世に生まれた時から既に「親の数値化・学歴」によりイメージ化され、22歳を過ぎた社会人の頃には、今度は自分の経歴における「数値化・学歴」によりイメージ化されてしまう。 本ブログは「不平等社会」については語らない。こ...